午前10時。管理棟前に音楽学部棟建設予定地現地エクスカーションの参加者

50名程が集まりました。

学生によるキャンパスの説明

● 音楽学部棟が建設されればほぼ全滅するスズカカンアオイを観察

半世紀前も現在も変わらぬ植物は、明るい林床に生育するスズカカンアオイの群落である。カンアオイの仲間は、数百年で数メートルしか分布域を拡大できないため、数百株もの群落を形成するまでには、地を這う蟻の力を借りて、気が遠くなる程の歳月を生き延びてきた事になる。再生した森に跪き畏敬の念をもって接すべき聖域の植物である。

● 音楽学部棟建設予定地、冷たい清流が流れる水域での生き物の観察

音楽学部棟の下部にはコンクリートダム2カ所の建設が計画されている。施工に際し、排出される濁水は、現在生息しているミルンヤンマ・ハネビロエゾトンボ・ホソバトビケラ・カワニナなどの絶滅危惧種や希少種に多大な影響を及ぼす。ダムとは雨水調整池で、建物全体の降雨のファーストフラッシュを集水するため高濃度の濁水であり、雨水調整池から現在清流が流れる水域に放流管もしくは水路で排水する計画となっている。

● カワモズク 日本各地で保護されている清流を代表する植生

これほどまでの生育地は県内尾張地方では唯一であり保全に値する。建設工事に伴い、明らかにカワモズクは激減、もしくは絶滅すると予測する。生育箇所は一部音楽学部棟建設区域内にもある。

● 寺田湿地

音楽学部棟建設予定地近くには東海丘陵要素動植物が生育する湿地があり、絶滅危惧種のシラタマホシクサ、サギゾウ、ヒメタイコウチが観察できる。東海丘陵要素動植物種とは、かつて河川であった氾濫原低地に堆積した東海層と呼ばれる地層に依拠し、生育生息し続けた種をさす。これら東海丘陵要素動植物保全の施策が、計画書を見る限り不備であるため、工事に伴う環境への負荷軽減策を十分とるべきである。


本来、基本設計前に自然環境に関する最低限の調査は実施した上で、負荷をかけない設計と建設に伴う施工方法を検討すべきであるが、それらの計画性があったとは推測できない。コンセプトには環境に配慮し、負荷を抑制すると表記されているが、最も豊かな自然区域が、音楽学部棟建設予定地であり、環境への配慮も欠け、負荷抑制以前の計画である。(未来に残そう豊かな自然より)

瓶のなかにいるのはハッチョウトンボのヤゴ

午後は、長久手文化の家・光のホールでシンポジウムが行われました。


パネラー

國村恵子先生(名古屋市水辺研究会代表)

松隈 洋先生(京都工芸繊維大学教 DOCOMOMOJAPAN)

浅井達夫先生(長久手町議会議員 前建設委員会委員長)

大谷茂暢先生(愛知県立芸術大学名誉教授)


講演

「自然文化遺産と生物多様性・未来に残そう愛知芸大の豊かな自然」國村恵子先生 


「愛知県立芸術大学と建築家・吉村順三の求めたもの」松隈 洋先生


「長久手の今と昔」浅井達夫先生


「芸術教育における愛知芸大キャンパスの価値」大谷茂暢先生


参加者との質疑応答・フリーディスカッション


シンポジウム「愛知芸大キャンパスが持つもの」音楽学部校舎新築工事についてのまとめと要望書
../../../../110620.htmlshapeimage_10_link_0
アンケート結果
../../../../110628.htmlshapeimage_11_link_0