奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで

 

住み心地

2012年12月14日

遺跡や古建築は眺めるものだが、多くの建物は「住む」ものである。庭の手入れをしたり、障子を張り替えたり、正月には門松を飾るなど、家と人との交流は細やかである。私が育った自由学園の校舎は、生徒の手によって運営されていた。樹や草の手入れ、建物の掃除、水道や電気の故障なおし、道の補修、豚やミツバチを飼う、など。男子部は建物も建てるし、川で発電、植林もする。自然と建物と人との交流があって、「住み心地」をよくしていた。公共建築には住み心地という視点はないのだろうか。吉村先生の言葉としてよく引用される「そして、夕方、家に灯がともり食事をしている楽しい風景を見るときが、建築家として一番うれしい」というのと、公共建築との接点はいずこにあり得るか。