奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで

 

原寸

2013年1月31日

キャドで図面を書くようになってもう20年以上になるが、まだ納得がいかない。原寸を自分の手で書かないと、実物の感じが掴めない。吉村設計事務所に入ると、毎日のように原寸を書いた。気持ちがいい。腕を存分にふりまわして図板一杯に太い線を書くと、現場の形が目に浮かび、その空間に自分も入って行く。細い・太い、の材木が見える。メンをいくらにするか、チリをいくらにするか、見えるので考えが決まる。それがキャドではうまくいかない。しかし、キャドのせいにするわけには行かない。フリーハンドと同じようにキャドの世界を操れるようにならなければいけない。私が吉村設計事務所にいた1972年に、吉村先生は、ご自分の部屋のデスクで、さかんに原寸を書いて、いつも実物を確かめながら設計をしておられた。手でふれる感覚が原寸図ではなくキャドで感じられるようにならなければいけない。